かっぱの今日のお薦め

ほぼ毎日更新!!!

当「相模の風レコード」の管理人をつとめる、そして楽曲掲載ミュージシャンでもあるQuappaがその日の気分で音楽や映画、本などを紹介していきます。
今までの各月の分は、それぞれファイルにまとめました。


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2003年

6月30日(月)

アイク・ケベックの「ボサノヴァ・ソウル・サンバ」は、まろやかでエロい。
アルバムの主人公たるアイク・ケベックはテナーサックス奏者。大有名な人ではない。そして、この作品は彼の遺作である。

遺作、だからといってその作品がすぐれたものとは限らない。ミュージシャンの死と、その死に一番時期的に近いからといって、作品のクオリティの高い低いとは関係ない。

だが。
このアルバムは凄い遺作である。
アイク氏の亡くなる2ヶ月前に録音されたそうだ。死因は癌。ということは癌だということを本人が知っていたかどうかは分からないが、症状は出ていたに違いない。もうかなり辛かったのではないだろうか?

そんな時期に録ったにもかかわらず、そう言う意味での憂愁など、微塵も感じさせず、エロいのだ。まろやかなのだ。なんか若い女の子のケツをぺろっとなでているような音。
亡くなる2ヶ月前にこれは凄すぎるよ。もう、これだけで大尊敬です。

サイドをつとめるケニー・バレルのギターも普段より幾分ホットで、ブルーズ臭が強い。周りの演奏者をもかき立てる何かが、迫り来る死とは関係なく、発揮されていたのだろう。

僕もかくありたい。

6月28日(土)

つい先日「羊たちの沈黙」を紹介したが、今度は「ハンニバル」である。
なんのことはない、すっかりレクター博士のファンなんじゃん。

やっぱいいキャラだよ。クラリスより、魅力たっぷりだしさ。

今作の方が「羊〜」より若干は落ちるような気がする。がレクター博士は全開である。作者もそういうつもりで展開させていったのだと思うし。こういうキャラだと「13日の金曜日」のジェイソンのように半ばギャグ化して長く続けるというパターンもあるしなぁ。あるいは完全に寅さんのようになってしまうか?
あ、でも「ハンニバル・レクター/葛飾望郷篇」とかいいかもな。山田洋次監督で。

このハンニバルも色々な部分での荒唐無稽度が前作より数段アップ。つまり物語としての緻密度は落ちたということだ。でも「レクター主人公のアクション小説」としては面白さ度アップ。
つまりそういう小説だと思う。
クラリスやレクター博士の思わせぶりな心理分析のくだりなどは全部流しておいていい。
レクター博士が窮地を脱したり、あるいは殺人を犯すところのスリル、スピード感が肝だ。
それがこの狂人の主人公に「かっこよさ」を与える根拠になっていると思う。スピードと、冷酷さがかっこいい。

6月26日(木)

スライ&ザ・ファミリーストーンの「暴動」に収録の「サンキュー・フォー・トーキン・トゥ・ミー・アフリカ」はすごくいい。
このアルバムが発売される前に出た「サンキュー」と同曲なのだが、別テイク。いや、別の曲と言っていいくらい演奏から受ける感じは違う。

シングル盤の方のテイクにずっと馴染んでいた。こっちはいわゆるファンキー。ストレートにカッコイイ。ラリー・グラハムの元祖・チョッパーベース大炸裂のハードなダンスナンバーだ。いや歌詞はもの凄くシリアスだから気軽に踊る曲ではないのだろうが、このグルーヴ感、もう踊るしかないでしょ、という演奏だ。

それに比べると、アルバムの方はえらくだるい。ファンキーのかけらもないように最初は聴こえる。
なんでこんなバージョン入れたんだ?シングルの方が全然いいのに。多分、大多数の人がそう思うのではないのだろうか。聴き比べをしたら。

この大地を匍匐前進していくような、ゆったり、というよりはもったりとした感じ。しかも妙にボトムの音の弱いミックス。はっきりと変である。

でも、スライ・ストーンは当然、承知の上でこのバージョンをアルバムに入れたのだ。このアルバムを聴き始めて10年くらい経ってやっと、わかった。(もちろんワシ流にだが)

彼は違和感を体現したかったのだ。
だから、素直に踊れてしまう、そしてカッコイイアレンジを敢えて捨てたのだ。
かっこよさに痺れさせてはイケナイ、と思ったに違いない。
そして、より「個」を感じさせる。
一人の男の視点がはっきりと見えるのだ。

この超だるいバージョンの「サンキュー」10年かかって分かった味わいだもんね。僕にとってはこの音をリアルに感じるまで、10年かかった。面白いな、音楽って。

6月25日(水)

僕の好きなミュージシャンはキンクスだのジョージだのと60〜70年代の人がほとんどなのだが、自分が二十代の時に、同時進行・リアルタイムで好きだったのが、プリンスだ。

グルーヴィなのに超個人的な音。
間違って彼の寝室に入ってしまって耳元で歌われているような歌。気持ち悪い、といえば確かに気持ち悪い。でも僕にはとても身近な音だった。そう、曲だった、でもなく歌だった、でもなく「音」だった。

プリンスからパーソナルに送られてくる音は、意地悪で悪意と愛に満ちていた。
そしてその音に限りないシンパシーを感じていた。
チャカ・カーンのカバーでも知られる、「フィール・フォーユー」
「お前に感じてるんだよ」って密室の音が語っている。
浸れる。

6月23日(月)

こんにちは。

って自分のページなんだからあらたまらなくても。
いや、でも、特にこのお薦めコーナーほったらかしだったしさ。
浮き沈み激しくていかんよな。

なんのかんのいっても、動かないのは一番ダメ。動きが止まるとすぐ澱む。

今日の、久々のお薦めは本でいきます。
トマス・ハリス著 
「羊たちの沈黙」
ナニを今さら、という気もしなくはない。もう、ベストセラーを通り越してクラシックの仲間入りをしそうな本だ。もちろん映画の方でお馴染みの人も多いだろう。

だが、僕としては一番最近読んだ面白い本だし、未読の人はぜひ、と思えるしな。よっしゃ。OK。

ベストセラーに必ず手を出す、訳ではないが、本はかなり好きなので、話題になった本は1/3くらいは手を出す。(といっても「ハリポタ」とかは読んでないな。「指輪物語」も)だが「羊たちの沈黙」には映画も本もぴくりとも興味が湧かなかった。
読んでなくても大まかなあらすじくらいは耳に入ってくる。
大量殺人を犯して捕まった精神異常の精神医学者レクターが、新たに発生した連続殺人事件を解決するために...あーだめだ。
異常者の連続殺人?あーだめだ。
だめなんでちゅ。

もう生理的に受け付けないのだ。スプラッタムービーとか大嫌いだし。人が殺されるシーンは映画も本も辛い。
特に20代の時は全然ダメだった。
ナニを勘違いしたのか「ミザリー」をコメディ映画と思いこんで(ムチャだよな)見に行って鳥肌たちまくりで帰ってきたこともある。

それでも最近はある程度のは大丈夫になってきていた。ま、感性が図太くなったというか鈍くなったというか。
物語において必然性のある死や殺人ならなんとか見られるようになった。

「死」とか「悲惨なこと」、というのが実に普通に存在する、というのが分かってきたからかもしれない。
安全がただと思われている国で育っちまったからよ。いや、普通にニュースとか見ているだけで、そんなことは理解できるはずなのだが。

単純に物語として完成度が高い。
サスペンスの盛り上げ方、テンポ、主人公達のキャラクター、どれをとっても見事なモノだ。
その上で。
人ってなんでこんなにどうしようもないんだ。
でも病的に人を殺す人に倫理は絶対に通用しないものな。
自分に「オレはそういう目に遭わない」という何とも自分だけが、という結界を張るくらいしか身を守る方法ないし。

ヒューマニズムに懐疑的な僕は、気分悪くなりながらもレクター博士がちょっと痛快だったりもした。
ま、受け付けない、と思っていたものが予想外に面白かったのは収穫です。なにかが昔とは変わったのでしょう。

4月6日(日)

最近、新しい音を全然聴いていない。感性の保守化、どころの騒ぎではない。思いっきり古いところで自足している。

でも、楽しいと思えるもの、スリリングなものを聴くのが、一番。
この数ヶ月、聴くのはこのページでも何度も取り上げている、グラント・グリーンをはじめとするソウルジャズ系、そしてファンク期のマイルズ・デイヴィス、セロニアス・モンクがほとんどである。ポップ系ではサンタナとジョージ・ハリスンと師匠・レイ・デイヴィス率いるキンクス。なんのことはない。1975年くらいでで止まっているのだ。今の僕の音楽時計は。

で、今日はセロニアス・モンク。
僕が真剣に音楽を聴き始めたのは中学二年の終わり頃。
レコードをバンバン買えるほどの小遣いを持っていない僕にとって、音楽の供給源はFM放送のエアチェックだった。
そのエアチェックに置いてもごく初期に録音した曲、それがセロニアス・モンクの「二人でお茶を」だった。曲自体はスタンダードナンバー多分ドリス・デイあたりだったと思う。音楽にさほど興味のなかった僕でも、そのメロディには聞き覚えがあった。
そのメロディの崩し方や和音の付け方がジャズなんか、全然分かっていない僕の心にも、ひどく印象深く残った。大好きだったわけではない。その奇妙な感覚が好き嫌いとは違うレベルで、妙な引っかかりを残したのである。

それから24年も経って、僕はあの演奏に出会うことができた。
ついこの前買ったモンクのLP「クリス・クロス」である。
実は以前に買ったモンクの「ユニーク」にも「二人でお茶を」は入っていたのだが、僕の記憶にある、「お茶」とは演奏スタイルが全然違う。
「ユニーク」自体は名盤の名に恥じない面白いアルバムだったが、この「お茶」はあの、中学2年の時にエアチェックしたあのテイクで聴きたい。
モンクのアルバムを調べてみると、どうももう一つのテイクは「クリスクロス」というアルバムに入っているらしい。

ジャズのアルバムは原則としてアナログ盤で買うことにしている。
別に音質がどうこうというより、気分の問題だ。
だが、この「クリス・クロス」はアナログはもちろん、CDでもどの店にも置いていなかった。調べてみると別に廃盤になっているわけではない。
こうなってくると意地だ。いつ出会うことができるか。
僕の頭の中のチェックリストにインプットされてから、半年目くらいにやっと出会った。水道橋の中古盤店。

24年ぶりのご対面。
いいとか、悪いとか判断つかなかった。どうでもよかったそんなことは。
ただ、僕の記憶にあった以上の、瑞々しい音に感激した。
うれしかった。

あの頃に触れたものって、やっぱり原点なのかもな。
ジョージだって中学3年以来ずっと好きだし。
キンクスだってそうだし。

原点回帰
セロニアス・モンク
二人でお茶を

ジョージ・ハリスン(ビートルズ)
ヒア・カムス・ザ・サン

ザ・キンクス
オールデイ・アンド・オールオブザナイト

 

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