| 2001年 12月27日(木)
このところ、ジャズのビッグネームが続いてしまうが、今日はマイルズ。
マイルズ・デイヴィスはこのお薦めの中ではひょっとしていちばん登場回数が多いかもしれない。
本格的に聴き始めたのはこの2年くらいなのにね。
それだけインパクトが強い。
唯一無二の音を出している。
マイルズの音をものすごく乱暴に、一言でくくってしまうと、「カッコいい音」である。
そして本人もそれを自覚している。
音も本人自身のことも「オレっていけてる」と思っている。そういう音だ。
普通はそういうのはハナについてしまうのだが、マイルズの場合はハナにつかない。だってホントにカッコイイを結晶させたような音なんだもの。
今日はそんなマイルズのアルバム「フォア&モア」をお薦め。
もうハードエッジで、滅茶苦茶攻撃的。
破壊力抜群。
これは癒しの対極にある、ひたすら自分を解体していく音だ。
アルバムを聞き終わって針があがったときには、自分は空っぽになっている。
これは、トニー・ウィリアムスのアルバムでもある。
彼のドラムは、この解体の音楽の「解体用重機」の役割を果たしている。
壊して壊して壊した果ての新たな地平線。
時々、僕も壊されたくなる。
とことん壊されたくなる。
時々、だけどね。
12月26日(水)
アート・ブレイキーのアルバム「オージー・イン・リズム」
これ、すごいっす。
ピアノもフルートも入っているのだが、メインは太鼓。
パーカッション、ドラムがなんと9人も。
それも一人ずつ別々にたたくのではなく、基本的には一曲の中で、ほぼ全員がたたいている。
すげーことになっている。
うるさい。
だが、かっこいい。
久々たまげたよ。おれは。
ポリリズム的な面白さはもちろんある。
だが、そういうことより、全体から立ち上る、陽気だが呪術的な空気。
これはこのメンバーだったからなのか、それとも、こういう編成だったからなのか?
ひょっとしたら、太鼓を大人数でたたく、ということ自体が、こういう空気を生み出すのでは?と思ったら、わくわくしてしまった。
かなりこの時のスタジオの中は「巫女さん」状態だったと思う。
音だけで、こんなにすごいんだから、その場にいたら、どんなだったか?
アート・ブレイキー、プレイをどうこう言えるほどには知らないのだが、派手であると同時に、一緒にプレイする人をプッシュする、ケツをひっぱたく力が相当あったのだと思う。
熱い熱い。
アートの他のアルバムも聴いてみようかな。年末にいたり、なおもびっくりの一枚でした。
こんなアルバムに出会えたことに感謝。
12月20日(木)
切ないとき、情けないとき、逃げ込むように聴く曲。
今月の前半特集した、ジョージ・ハリソンの曲も、ぼくにとってはそういう意味合いの強いものが多かったが、この曲は極めつけ。
しかもフェイバリット・バンドのキンクス。
「ウォータールー・サンセット」
アルバム「サムシング・エルス」に収録。
夕暮れが見えてくる。
無常に、無情に、切ない。
こんな僕でも、涙をこぼしそうになる。
ゆっくりと、何度でも聴き入る。
フェイドアウトしていく曲と共に、なにかが融けていく。
何度聴いてもフェイドアウトしていく。
そのたびにひとつずつ、融けていく。
12月18日(火)
すみよしたけし&ざっくばらんすの、「草原のダンス」
本日より、相模の風ページ上で、MP3のダウンロード配信開始だ。
今までアップした曲はライブ録音だったが、これはスタジオ版。
それだけに落ちついた仕上がりである。
だが、すみよし達の持つ、ライブ的なパワーは全然落ちていない。
丁寧かつ力強い仕上がりである。
そしてスケールの大きい楽曲。
大きな器の曲にのびのびとした演奏。押しと引きの絶妙なブレンド。いい曲を最適なアレンジでやればこうなるという見本だ。
すみよしの曲に常にある、叙情性。内側を見据えつつ、拡がりを持った歌詞とメロディ。
ほんとに情景が目に浮かぶ。
まずは「風の歌を聴きますか?」のすみよしたけし&ざっくばらんすのコーナーからダウンロードしてみてくれ。
良い曲です。
12月13日(木)
先週は事情が事情だっただけにジョージの特集だった。
そしてファンなら誰でもやりそうな、ジョージのソロのみならず、ビートルズのアルバムを聞き返す、ということを案の定、ワシもやっていた。
前から自分の中では決定済みのことなのだが、あえて書きたくなった。
ビートルズのアルバム中、いちばん好きなのは「ホワイトアルバム(ザ・ビートルズ)」である。
だが、しかし、いちばんぶっ飛んでいてかっこいいのは、「リボルバー」だ。
間違いなくこの頃のビートルズはラリラリである。バイオ本などにもそんな記述が見えるが、そんなもん読まなくても、音を聴けばすぐ分かる。こんなん、まともなノーマルな頭で作られた日にはあーた...
前例何も無し、オクスリ無し、でこの音が作れたら、人間業ではない。
僕は基本的にはアンチ・ドラッグなのだが、これは数少ないドラッグが有効に働いたアルバムである。
日常では絶対見えない世界を音にするには、きちんと「ラリラリ界」を現実音楽界に翻訳する能力がなければダメだ。
同時期のグレイトフル・デッドもラリラリバンドとして有名だが、ワシ的には緩すぎる。彼らは翻訳しきっていない。向こう側のまんまだ。そしてジェリー・ガルシアはいきっぱなしで本当にあの世へ行ってしまった。
亡くなったジェリーを責めるつもりはない。
今日はビートルズだ。
一曲目の「タックスマン」からエンディングの「トゥモロウ・ネバー・ノウズ」まで、テンション上がりっぱなしだ。
しかもこっちに片足かけながら見せてくれる、向こう側の世界。
世界でいちばん売れているバンドがこんなことをやってしまうなんて、なんて無責任で、なんてかっこいいんだろ?
聴くのに集中力いるけど、このかっこよさを忘れちゃいけない。月に一度は「リボルバー」を脳内に投入!
12月10日(月)
クラレンス・ホィーラー&ザ・エンフォニックスの「ライト・オン」
実はこのクラレンス氏に関して、僕はこの一曲しか知らない。アルバムも見たことないし、他の曲のデータもない。
たまたま買った、ジャズ・ファンク関係のオムニバス盤に入っていたのだ。
これがまた、ぎとぎとしていて下品でカッコイイ。
ファンクってこうだろ?
と、皆様に問いかけたくなる。だって汗くさくて下品なファンクって久しく聴いてないぞ。最近。
ラップ関係も野蛮さ下品さでは、今一なような気がするし。
そしてこの「ライト・オン」
うねっとるうねっとる。
「へっへっへ」という、下卑た笑いが見えてきそうだ。
いいね。
オルガンのうねうね具合と、ホーンのキレがとても気持ちよい。
そしてなにか、わさわさした気持ちになる。
こちら方面にもミュージシャンいしはら、走るぞ。これからは。
12月5日(水)
何と4回連続ジョージ・ハリソン。
いいじゃん、亡くなったときくらいしか、こんな技使えないんだから。ってすげー不謹慎?お前はジョージに対する愛はあるのか?
昨日の予告通り、今日はビートルズにおけるジョージの曲の表ベスト、裏ベスト。
早速いってみよう。
まずは表ベストから。
1.ヒア・カムス・ザ・サン
アルバム「アビー・ロード」
なんと言ったって中学3年のワシをノックアウトさせた曲だからな。ギターもコピーしたし。
2.恋をするなら
アルバム「ラバーソウル」
英題よりこれは邦題の方がいいな。可愛い名曲。
3.タックスマン
アルバム「リボルバー」
サイケでソウルなカッコイイの見本。
4.ホワイル・マイギター・ジェントリー・ウィープス
アルバム「ザ・ビートルズ」(ホワイトアルバム)
この曲と「ブラックバード」が聴きたくてこれを買った。ほかの曲も全てヨシ。ビートルズで1枚といわれたら、ワシはこれ。
5.サムシング
アルバム「アビー・ロード」
91年に出たジョージの「ライブ・イン・ジャパン」の演奏が涙&鳥肌もん。もちろんビートルズバージョンもよい。
ま、表は誰が選んでもだいたいこんな感じだと思う。
問題は裏だ。
ビートル・ジョージ 裏ベスト
1.イッツ・オール・トゥ・マッチ
アルバム「イエローサブマリン ソングトラック」
リミックスものは嫌いなのだが、これはすごい。
オリジナルの「イエローサブマリン アルバムバージョン」の3倍良い仕上がり。
曲の柄の大きさにひれ伏す。
2.ブルー・ジェイ・ウェイ
アルバム「マジカル・ミステリーツアー」
目茶サイケ。悪い薬いっぱいやってそう。
大好き。
3.サボイ・トラッフル
アルバム「ザ・ビートルズ」
ファンクです。これは。
4.ラブ・ユー・トゥ
アルバム「リボルバー」
妖し過ぎるシタールが全開。歌メロのへんてこりんさ加減も大好き。今でこそ、コピーしてみたい。
5.オンリー・ア・ノーザン・ソング
アルバム「イエローサブマリン・ソングトラック」
オリジナルの「イエローサブマリン」アルバムははっきり言って残り物の、寄せ集めというかやっつけ仕事というか。そんな中、ジョージの2曲はビカビカに光っているぞ!
買うのなら、ソングトラック、の方がいいです。
ただオリジナルの方にしか入っていない、ジョージ・マーティンのオーケストラものはこれはこれで、かっちょいいぞ。密かに好きだ。
やっぱりこうしてみると、ビートルズ時代の、特に後期のジョージは相当フラストレーションがたまっていたのだろうな。
こんな名曲書いているのに、更に上をいく二人がいるから、「アルバム1枚につきジョージは2曲まで」なんてことになっちゃうんだよな。
昨日のジョージ・ソロも、今日のビートル・ジョージも表は必携、裏は真髄、というかんじだな。
ジョージを聴いてハッピーになろうぜ。
12月4日(火)
こんな時くらいしか使えない技。
ジョージ・ハリソンで3回連続だ。
今日はジョージ・ビギナーのための表名曲、裏名曲。
ジョージが亡くなった、元ビートルズ、ときいて、あわててCDショップに走った人もいることでしょう。「何か聞かなきゃ、買わなきゃ」って。
でもジョンやポールに比べ、なんかなじみのないアルバムばっかり。
ビートルズのアルバム見たって、どれがジョージの曲だか分からない。ま、ジョージの扱いってば、だいたいそんなもんです。
そんなあなたのためにジョージ歴22年の私がそっとお教えしましょう。
まずはジョージのソロ、表名曲ベスト5から。
1.ラブ・カムス・トウ・エブリワン
アルバム「ジョージ・ハリソン」
2.ギブ・ミーラブ
アルバム「リビング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」
3.イズント・イット・ア・ピティ
アルバム「オール・シングス・マスト・パス」
4.マイ・スィート・ロード
アルバム「オール・シングス・マスト・パス」
5.セット・オン・ユー
アルバム「クラウド・ナイン」
ジョージの曲には人間の弱い感情が詰まっている。
そして弱くて馬鹿な僕らを、とりあえず包んでくれる。
それはある種の避難所かもしれない。そこに逃避しつつづけることは難しいかもしれないけど、ちょっと休むことはできる。
そしてもちろん、音楽でそんな場所を提供してくれる人は余りいない。
ジョンもポールも素晴らしい。大好きだ。
だが、彼らにはできない。そんな場所をさしだしてくれることは。
そしてもちろん僕は、そんな場所が必要なくらいにバカで弱い。
そんな「シェルター的・裏名曲」を。
1.ゴーン・トロッポ
アルバム「ゴーン・トロッポ」
2.ディンドン
アルバム「ダークホース」
3.スーミー・スーユー・ブルース
アルバム「リビング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」
4.ヒアカムズ・ザ・ムーン
アルバム「ジョージ・ハリソン」
5.クラッカーボックス・パレス
アルバム「33 1/3」
なんか裏名曲の方が、ジョージにしては激しい元気ある曲が集まっちゃったな。
ま、いいや。
元気って言ったって、もちろん「こぶし系」とは程遠い。
なんかさりげなかったり、諦観があったり、切ないのだ。
亡くなったのを機に聴く。
大いに結構だ。
レコードをプレイヤーにかければ、いつだってジョージはすぐそばだ。
今夜も聴こうっと。
12月2日(日)
2日連続でジョージ・ハリソンのことだが、それくらいでは当然語り尽くせない。
僕個人的には、ものすごく悲しい、ジョージが亡くなったことが。
音楽をマジメに聴き始めた、ごく初期から大好きで、なおかつ曲も良く聞き込み、ひょっとしたら、影響なんかも受けちゃっていたりするかもしれない人だからだ。
実はジョージ、余り認められていないかもしれないが、今のロックシーンにかなりの影響を持った人なのだ。みな、それと気づかずにその影響や、彼がまいた種が育ったその果実を食べていたりするのだ。
☆大規模なベネフィット/チャリティコンサート。
もちろんジョージ以前にも数多く開催されていたのだが、それに商業的な成功と、大スターがそれを主催し多大な募金を集める、というのはジョージが主催した「バングラデシュ・難民救済コンサート」(1971年)が最初と言っていいだろう。
その手のコンサートの、よい点も悪い点もこのコンサートに、内包されている。
・良い点
言うまでもなく大スターが提唱し大スターが集まるコンサートだから、確実に動員が見込める。
それは募金額の増大、問題意識を見に来た多数のお客さんに植え付けるという点で有効である。
・悪い点
その集まった浄財の使途が、しばしば不明朗になる。
後々にどういう使われ方をしたのか、きちんとした発表がない場合が多い。また多数のミュージシャンが集まる「お祭りライブ」になることが多いので、各ミュージシャンの演奏自体は普段のライブよりも内容が落ちることが少なくない。
そして問題意識の方は、観客側もミュージシャン側もその場限りで拡散してしまうことが多い。
観客は大好きなスターを見たいだけの場合が多いし、それはまた、正当なことだからだ。
☆ロック・ポップスへのシンセサイザーの導入、インド音楽の導入
これは別のジョージがやらなくても誰かがやったことではあろう。
だが名のある人で最初にやったのは、ジョージ・ハリソンである。
シンセの方は単純にビートルズのメンバーだったからというのも大きいだろう。
当時のビートルズのメンバーであれば、最新の楽器の情報なども、まず、間違いなく世界で一番最初に入ってくるからだ。そして金は既に腐るほど持っている。
シンセ導入に障害など何もない。
素晴らしいのは、そこで、ジョージが「電子音楽の世界」というソロアルバム、ビートルズのアルバム「アビーロード」などで、その素晴らしい可能性を具体的な演奏で見せてくれたことにある。
それはストレートにこの2000年代まで繋がっている。
そしてインド音楽。
はっきりと耳にできるのは「ラバーソウル」収録の「ノルウェイの森」(ノーウェジアン・ウッド)のシタールを用いた演奏が最初である。
単純にポピュラー音楽界で、誰が一番最初か、といったら、ひょっとしたら、キンクスの「シー・マイ・フレンド」のインド音階を用いたメロディの方が早かったかもしれない。
しかし影響力を持ったグループ、ということで考えれば、ビートルズが最初と言っていいだろう。(キンクスだって大好きだし、当時も人気あったけれど)
音階に含まれるエキゾティックなかんじ、そしてその音楽自体に含まれる精神的な深い部分というのはサイケデリックを経て、後のワールドミュージックまで、確実に繋がっている。
トランステクノや、ヒップホップ系にもブルーズと共に何か流れているものがあるように思う。
これはジョージの偉大なる功績である。
現在のポップミュージックの偉大なる父、とまでは言えないにしても、理解があって援助をしてくれる伯父さん、くらいのポジションにはいるはずだ。
もちろんミーハーの一ファンとしては、言いたいことはもっとある。
「ヒア・カムズ・ザ・サン」や「ラブ・カムス・トウ・エブリワン」や「ギブ・ミーラブ」、それぞれ一曲だけのことで、何ページも書けてしまう。
でも、それは例えばジョージマニアと追悼するときにでも喋ればいいことだ。
誰か、語り合いませんか?ジョージマニアの方!
12月1日(土)
僕の大好きなジョージ・ハリソンが亡くなった。
癌、ということだったから、いたしかたないのだろう。
でも、ホントに、本当に大好きなミュージシャンがこの世からいなくなると言うのは辛い。
僕個人にとって、カーティス・メイフィールド、ロニー・レーンが亡くなったとき以来の悲しみだ。
もちろん家族や親友だったわけではないのだから、その悲しさは本質的なものではないのかもしれない。別に泣いたわけでもない。
でも、僕はジョージの作った曲が大好きだった。
本当に何度も聞いてきた。
彼の曲に包まれているのが好きだった。
あの情けない声と温かいサウンド。
ロック名盤リストなどには多分載らない「ゴーントロッポ」や「33 1/3」だって結構よく聞いていた。
僕が日頃このページで批判している「癒し」というやつを、ひょっとすると、ジョージの音楽からは貰っていたのかもしれない。
ジョージは旅立ってしまったが、彼の残してくれた音楽は永遠だ。
レコードを、CDをかけるだけで、僕のそばに帰ってくる。
あの素晴らしい歌と共に。
合掌。
All things must pass.
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